● 琉球家譜目録データベース |
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琉球家譜目録データベース作成プロジェクトについて |
琉球の家譜(系図)とは、近世の琉球国において士族のみに所有が許された家々の記録のことです。琉球には四百余系の士族の門中(男系血族集団)があり、本家・分家あわせて約三千冊の家譜が作成されていました。また18世紀前半になると、離島(宮古・八重山・久米島)の島役人にも家譜の編集が免許され、二百〜三百冊が作成されたと言われています。しかしこれらの家譜の内、現在、写本を含め存在が確認できるのは僅かに七百余冊に過ぎません。その大半は去る沖縄戦の際に焼失したものと考えられています。 すでに多くの研究者が指摘しているように、家譜は、近世琉球の個々人あるいは各家の歴史を最も詳細に伝えると同時に、王国の政治・経済・外交などの詳細をも如実に伝える貴重な史料群です。このため諸先学・諸機関・諸プロジェクトによって家譜の史料的整備が進められ、その研究環境が抜群にととのえられてきました。『那覇市史』における多数の家譜の翻刻、そして重点領域研究「沖縄の歴史情報研究」によるそれらの家譜の活字化とインターネットによる全文データの公開などは、その最たる例と言えます。 しかし一部の家譜の利用が極端に便利になり、そこに記された事柄が「歴史的事実」として周知されていくにつれ、そこから漏れた家譜の情報に関しても整理・公開の必要性が指摘されるようになってきました。また家譜史料群の全体像と残された家譜との関係が把握しづらいという課題も未だ解決されていません。 今回(2006年度)、私は文部科学省特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成(通称にんぷろ)」(代表:東京大学・小島毅助教授)の地方政治班(代表:慶應義塾大学・山本英史教授)の一員として、琉球の地方政治に関わる文書類の検討を行うことになりました。そこで琉球の家譜は、地方官として各地に赴任した士族たちの統治実践の記録でもあるということを踏まえ、また前記した家譜整備の課題を鑑み、家譜史料の基礎的研究の一環として「琉球家譜目録データベース」を作成することを思い立ちました。 幸いなことに琉球史研究者の上里隆史氏に実務スタッフを引き受けていただき、その尽力により本年度の成果として「久米系家譜」・「『氏集』外の本島系家譜」のデータ化を行うことができましたので、早速、本サイトにて公開することにしました。但しまだ現地調査を行っていないため、あくまでも試験的な公開となります。この点なにとぞご諒解くださいますようお願い申し上げます。なお2007年度中に完全版を作成・公開する予定です。 本データベースの目指すところは以下の通りです。 @王国時代に存在した家譜と、現在存在を確認できる家譜とが一目瞭然に把握できる目録リストである。 A現存家譜の所在(影印本の所蔵機関を含む)、ネットにおける全文データ公開や翻刻本の有無など閲覧のための利用情報を含んでいる。 B家譜の関連情報(附属文書の有無など)を含んでいる。 来年度以降も順次データ化を進めていく予定ですが、限られた人数・資金・時間による膨大なデータの処理には難しい点も多々ありますので、今後、関連する諸研究者や諸機関の方々に、是非ともご教示・ご意見、あるいはご協力・ご助力をお願い申し上げたいと思います。また家譜(系図)は、形や性質が異なるとはいえ、東アジアを始めとする各地に遍在し、比較研究の視点を置きやすい素材でもあります。他の地域の研究者によるご意見などもいただければ幸いに存じます。プロジェクトと名乗るには気恥ずかしい程の弱小企画ですが、大国の狭間で生き抜いた琉球のしなやかな歴史に学びつつ、細く長く試行錯誤を繰り返していきたいと考えております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。 2007年3月31日 渡辺 美季 |
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平成19年度は引き続き上里隆史氏に実務スタッフを引き受けていただき、那覇系の家譜目録データベースを作成しました。準備が整い次第、公表する予定です。また既に公開中の久米系(17番)・氏集外(21番)家譜の目録データベースに関しては、海域アジア史研究者の岡本弘道氏の協力により、検索・表示機能を全面的にリニューアルしました。そこには本年度に渡辺が行った現地調査の成果も反映させてあります。一人でも多くの方にご活用いただき、ご意見などもいただければ幸いに存じます。なお最近、琉球の家譜に関して以下のような文章を書きました。こちらも宜しければ是非ご覧下さい。 *「近世琉球の社会と身分−家譜という特権−」(大西秀之・加藤雄三・佐々木史郎編『東アジア内海世界の交流史−周縁地域における社会制度の形成−』人文書院、2008年3月)→詳細はこちら 2008年3月20日 渡辺 美季 |
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平成19年度および平成20年度の成果として那覇系家譜(氏集16番・18-20番)の目録データベースを公開します。よろしくご活用ください。 2008年8月20日 渡辺 美季 |
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*参考文献:田名真之「琉球家譜の成立と門中」『歴史学研究』743、2000年。 *参考資料:『那覇市史』家譜資料一(資料篇1-5)、1976年(※総合)。『那覇市史』家譜資料二(資料篇1-6)、1980年(※久米系)。『那覇市史』家譜資料三(資料篇1-7)、1982年(※首里系)。『那覇市史』家譜資料四(資料篇1-8)、1983年(※那覇・泊系)。 *本サイトは2006・2007・2008年度文部科学省特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成」A1−3地域政治班(代表:山本英史教授)及び2006・2007年度文部科学研究費補助金(特別研究員奨励費)による研究成果の一部です。 *本サイトにおける全てのコンテンツの無断転載を禁止します。転載される場合は典拠を明示して下さい。(Copyright©,
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